FINALIST 2026

株式会社栄農人

提案したテーマについて

株式会社栄農人は、自ら農産物を生産し、自ら販売するところまでを一貫して担いながら、北海道から鹿児島まで全国235haの各地で農業生産に関わる事業を展開しています。今回提案したテーマは「農業×継承=未来」です。農業の担い手不足が深刻になる中、離農する農家の農地や技術、地域とのつながりを次の世代へ引き継ぎ、若い人材が働き続けられる強い農業法人を深谷市につくることを目指しています。

深谷市は、深谷ねぎをはじめとするブランド野菜を持ち、農業を目的に人を呼び込める力がある地域です。一方で、産地としての魅力が高いからこそ、農家の高齢化や後継者不足によって地域の生産基盤が失われる前に、具体的な継承の仕組みを整える必要があります。弊社は各地で培ってきた生産と販売の経験を生かし、深谷市とともに新たな農業継承モデルを構築したいと考えています。

提案内容について

提案の中心となるのは、離農を検討する農家から農地や栽培技術を引き継ぎ、それを若い担い手と稼げる農業法人へつなぐ仕組みです。耕作放棄地になってから再生するのではなく、農家が営農を続けている段階から関係者の間に入り、農地だけでなく、作物ごとの栽培技術や取引先、地域内の信頼関係まで丁寧に受け継ぎます。これにより、産地の生産力を維持しながら、若者が農業を仕事として選びやすい環境を整えていきます。

弊社が重視しているのは、先端技術の導入に先立ち、まずはそれを使いこなせる生産現場をつくることです。スマート農業やアグリテックは将来の農業に欠かせません。しかし、高額な機械やロボットが開発されても、導入を判断し、継続して運用できる農業法人が地域になければ普及は進みません。深谷市にしっかりと稼げて、若い組織の農業生産団体の基盤を作ることが最も大切と考えています。まずは全国で実績もあり取り組みを行っている弊社が、経営基盤を持つ農業法人と若い担い手を育て、その上で将来的にはロボットやデジタル技術を受け入れることが、農業全体の若返りにつながると考えています。

さらに、規格外農産物の活用や農業ツーリズムにも取り組みます。深谷市を訪れた人がアウトレットだけで帰るのではなく、農業体験や地域の食、農産物の購入を通じて市内を巡り、地域にお金が落ちる流れをつくります。生産、販売、観光を結び付けることで、農業を中心とした新たな地域産業を育てる構想です。つまり様々な今後の取り組みに必要不可欠な農業インフラの土台を深谷市に作りたいと考えております。これらは弊社が10年以上かけて様々な地域で実現してきたことです。

DEEP VALLEY Agritech Award 2026に応募したきっかけは?

応募のきっかけは、深谷市の農政担当者からの紹介でした。担当者が弊社の農場を訪れ、長野県や山梨県で進めている取り組みを深谷市でも実施してほしいと提案したことから、今回の応募につながりました。農業支援に予算を投じ、DEEP VALLEYの取り組みを通じて本気で地域農業を変えようとする深谷市の姿勢にも、大きな可能性を感じています。

これだけ農業に前向きで想いのある自治体であれば弊社の深谷市への本格的参入に心強いと感じた次第です。

深谷市に期待しているのは、資金面の支援よりも人とのつながりです。離農を考えている農家や地域の農業関係者を紹介してもらい、耕作放棄地になる前から継承に向けた対話を始めたいと考えています。そのため、活動委託費についても現時点では具体的な使用を予定しておらず、地域の農家や関係機関との連携を最も重視しています。

最終審査では、自ら生産し、自ら販売してきた農業法人だからこそ示せる現実的な継承モデルを伝えます。深谷市で若い担い手と稼げる農業法人を育て、その先に先端技術を受け入れられる環境をつくる。そこで生まれた成功事例を全国の自治体へ届け、日本の農業継承を前へ進めることを目指しています。