株式会社WAKUは「心からワクワクする事業を」という思いから名付けられました。創業メンバーが過去在籍していた会社で、国産アボカド栽培の研究を進める中で、植物の成長を大きく促すグルタチオンに出会いました。その効果を確信したことをきっかけに独立し、農業分野に特化した資材開発を進めています。
提案したテーマについて
今回は、グルタチオンで酷暑に負けない深谷の未来をつくることをテーマとして提案させていただきました。
提案内容について
グルタチオンは、グルタミン酸・システイン・グリシンから成るトリペプチドで、人や植物の体内に存在する天然成分です。医薬品やサプリメント、美容分野ではすでに広く利用されてきましたが、農業に応用できる大きな可能性があります。
グルタチオンには植物に投与することで光合成を促進し、遺伝子発現や細胞分裂を活性化させる働きが確認されています。その結果、収量の増加、品質の向上、さらには肥料使用量の削減につながることが各種の試験で実証されています。
例えば玉ねぎでは、定植などのタイミングでグルタチオンを施用することで活着率が改善し、球の重量や収量が増加しました。イチゴでは糖度が上昇し、高付加価値化に貢献する結果が得られています。また、施肥削減試験では化成肥料を半分に減らしても、グルタチオンを併用することで収量を維持できることが明らかになりました。埼玉県内の大規模ネギ農家での試験では、酷暑下でも活着不良や生育不良を改善し、苗の太さは通常の約2倍にまで成長。収量が1.1倍となった場合、1反あたり約9万4千円の所得向上につながるという試算も出ています。
一般的な肥料が栄養源そのものを供給するのに対し、グルタチオンは植物の体内で触媒的に作用し、生理機能全体を底上げします。これがグルタチオンの大きな特徴であり、多くのバイオスティミュラント資材が作用機序を明確に示せない中で、グルタチオンは科学的にその仕組みが解明されている点に優位性があります。さらに少量で効果を発揮するため、導入のハードルが低いことも強みとなっています。深谷市のような夏に暑くなる地域においても効果が現れており、今後の農業経営に大きく貢献する技術として活用していきたいと考えています。
DEEP VALLEY Agritech Award 2026に応募したきっかけは?
応募のきっかけは、深谷市役所からの紹介でした。これまでさまざまな場面で深谷市と意見交換を重ねる中で、地域農業が直面する課題と、グルタチオン資材による解決の可能性を強く実感しました。酷暑や気候変動の影響が年々深刻化する中で、生産者にとってすぐに効果を感じられる資材は大きな価値を持ちます。
また、弊社としては農業系スタートアップとして成長していく過程において、深谷市のように農業に力を入れている地域での評価は大きな意味を持ちます。今回のアワードでファイナリストに選ばれることは、地域農業に役立てるだけでなく、国内外に向けた発信力を高める契機となります。農業資材は生産者が日々の営みに直結して効果を実感できる領域であり、そのメリットを最大限に届けることが使命だと考えています。
今後は深谷を拠点に国内での普及を進めるとともに、世界市場への展開も視野に入れています。気候変動や資材価格高騰といった課題は日本だけでなく、世界中の農業が直面している共通のテーマです。グルタチオンを活用することで持続可能で高収益な農業を実現し、深谷から世界へと発信していく。その第一歩として、DEEP VALLEY Agritech Award 2026での成果をつなげていきたいと考えています。