サグリ株式会社は、衛星データとAI、そして独自の区画技術を組み合わせて「農地の見える化」に取り組むスタートアップです。社名には「探る=探求していく可能性」という意味が込められています。
提案したテーマについて
今回の提案テーマは、深谷市の農地を対象に衛星データで土壌分析を行い、JAや生産者が活用できる深谷市ならではの解析モデルを構築することです。
提案内容について
従来、土壌分析は農家にとって大きな負担となってきました。土を採取し、乾燥・ふるい分け・試薬処理を行い、窒素やリン、カリ、pHといった化学性を調べる必要があります。ただこれまでの土壌分析方法では、結果が出るまで時間と費用がかかり、日本では実際に分析を行っている農家は全体のわずか1%にとどまっています。残りの99%は経験や勘に頼って施肥設計を行っているのが現状です。しかし、土壌の状態は作物の生育や品質を大きく左右するため、本来は極めて重要な指標です。
弊社はこの課題に対し、衛星から得られる波長データを活用した新しいアプローチを提案しています。従来の分析データを教師データとしてAIに学習させることで、衛星画像から広域の土壌状態を推定可能にしました。これにより、窒素やpHといった化学性をリモートで把握できるだけでなく、「この土地に適した作物は何か」「どのような土壌改良が必要か」といった提案まで導くことができます。
農家は衛星解析の結果を基に施肥設計を立てることができるため、必要以上に肥料をまく必要がなくなり、効率的な施肥とコスト削減につながります。実際の試験では、窒素成分の分布を解析することで施肥量を40%削減しても収量に影響が出ない事例や、pH改善によって収量が向上した事例が確認されています。これにより「どの地点でどれだけ施肥すべきか」が可視化され、無駄のない営農が実現します。
さらに、自治体ごとにカスタマイズした「現地モデル」を構築し、生産者には専用アプリを通じて1ヘクタールまで無料で提供しています。農家は自分の農地の状態を手軽に確認でき、自治体は集約したデータを活用して農業指導や地域ブランド化に役立てることが可能です。診断と提案を一体化したサービスは、現場の負担軽減に直結する取り組みといえます。
DEEP VALLEY Agritech Award 2026に応募したきっかけは?
応募のきっかけは、以前から他のスタートアップを通じて耳にしていた本アワードの存在でした。深谷市が主催するコンテストは農業分野に特化している点で全国的にも珍しく、行政が中心となって推進する取り組みとして唯一無二の存在です。過去の受賞企業からも多くの話を聞く機会があり、挑戦する意義を強く感じていました。
弊社としては、これまで培ってきた衛星データ解析技術を地域農業に実装することで、深谷市の農業全体に役立ちたいという思いがあります。特に深谷市はネギをはじめとした多様な農産物が生産されており、土壌解析技術を活用することで施肥の最適化やコスト削減、さらには環境負荷の低減にもつなげられると考えています。受賞することで技術の信頼性を広く知っていただき、地域内での普及を加速させることが大きな目標です。
最終審査に臨むにあたっては、大賞を目指す強い意気込みを持っています。ただ結果だけでなく、プレゼンテーションを通じて深谷市の農業に携わる方々に価値を理解していただくことを大切にしたいと考えています。農家、生産法人、JA、自治体といった多様なプレーヤーと連携しながら、「農地の見える化」を進めていくことこそが真の成果につながるからです。今後は地域全体でのモデル普及を進め、衛星データを基盤とした持続可能な農業の実現に貢献していきます。深谷市での取り組みを第一歩とし、全国へ、さらに世界へと展開を広げていくことを目指していきます。