ファイナリスト

積水樹脂株式会社
積水樹脂株式会社は、道路標識や外構・景観資材のほか、包装資材や農業資材、獣害対策用品など、公共・民間問わず様々な事業を展開しております。
[ 提案したテーマについて ]
AIを活用した進化系の無人販売所です。従来、畑の横に置かれることの多い無人販売所にAIを活用し、高度な機能を加えることで、農家と消費者双方に新たな価値を提供することを目指しています。
[ 提案内容について ]
今回は農作物を扱っている直売所向けのサービスとして提案します。直売所が抱えている課題として、消費者と直売所の双方に見られます。まず、消費者側の意見として、直売所が郊外に位置しているためアクセスが不便、閉店時間が早く仕事帰りなどの遅い時間には利用しづらい点、また、せっかく訪れても目当ての野菜が売り切れていることなどがあげられます。一方、直売所側にとっても、販売機会を増やしたくても、従業員の確保が難しく、営業時間を延長するなどの対応が困難です。また、野菜を多めに陳列しても売れ残るリスクがあり、閉店間際になると品揃えがうすくなるため、販売機会を逃してしまうことが少なくありません。

今回御提案の「AI付き無人販売所」は、AIカメラを搭載することで販売所内の野菜をリアルタイムで検知し、在庫状況を管理することができます。これにより、消費者の欲しい野菜が欠品することを防ぎ、直売所にとっても効率的な在庫管理が可能となります。また、検知データに基づき、近隣の消費者に通知を行う機能も備えており、消費者は在庫状況を確認し、購入のタイミングを計ることができるため、利便性が向上します。

導入には専用キットが必要ですが、初期負担を軽減するため、無償機材レンタルという形で導入して頂けます。販売売上の一部を手数料としていただく売上連動型のモデルを予定しており、販売側が持続可能な収益を確保できる仕組みです。さらに、直接販売によって出荷や梱包のコストと手間が削減され、流通コストが抑えられるため、野菜の価格を上げることなく収益を確保できます。これにより、従来の無人販売所に比べ、消費者への通知機能が加わることでマーケティング効果も期待でき、利益が最大化される点が特長です。
[ DEEP VALLEY Agritech Award 2024を知ったきっかけは? ]
きっかけは、深谷市でのコワーキングスペース利用中に訪れたアグリテック交流施設「アグリ:code22深谷」で、地域農業を支援する「DEEP VALLEY Agritech Award 2024」についての情報を得たことです。深谷市は農業に力を入れている自治体であり、地域の課題解決に貢献できるプロジェクトだと考え、アワードに応募しました。
今後は、深谷市の協力を得ながら、農家や地域事業者にとって持続可能で収益性の高いモデルを確立していくことが目標です。深谷市での成功事例を作り、日本全国の農家に広げていくことで、農業の未来を支える一助となることを強く願っています。
EF Polymer株式会社
EF polymer株式会社は、沖縄科学技術大学院大学発のアグリテック・新素材スタートアップです。EF(エコ・フレンドリー)ポリマーと呼ばれる、化学物質を一切含まない完全生分解性の有機ポリマーを開発し、環境への影響を最小限に抑えた農業用資材として展開しています。このEFポリマーを世界中に広げることで、気候変動や肥料の価格高騰に苦しむ世界中の農家を支援し、経済的・環境的に持続可能な農業を目指して活動しています。
[ 提案したテーマについて ]
今回の提案テーマは「農業×スマート資材=未来」です。スマート農業と言えばドローンや自動化機械をイメージすることが多い中で、私たちは水を吸収し、放出できるポリマー資材を通じて、水やりの手間を減らすとともに、各地域における水不足や肥料のコスト問題を解決することを提案させていただきました。
[ 提案内容について ]
EFポリマーは、自重の約50倍の水を吸水することができ、6ヶ月間水の吸水・放出を繰り返し、12ヶ月で完全に土に還るという特長をもっています。使い方は簡単で、従来通りの土作りを行う際に、EFポリマーを一緒に散布するだけです。土壌に散布されたEFポリマーが水分を吸水・保持することで、通常よりも土の乾きが遅くなり、土壌の保水力が高まります。また、水に溶けて流れ出てしまう土壌中の肥料分や栄養も、水と一緒にEFポリマーに蓄えられるため、普通よりも長い期間、肥料を留めることができるのです。こういった蓄えられた水分や肥料分を、より効率的に植物が吸収するため、健康的かつ、収量増加も期待できます。
 
また従来の化学ポリマーとは異なり、EFポリマーはみかんの皮など従来は廃棄されていた資源を活用して作られていて、有機JAS認定を取得しています。有機JAS認定を取得した吸水ポリマー資材は、EFポリマーだけであり、農業の持続可能性をサポートする資材としても期待されています。
 
さらに、EFポリマーは、気候変動による農業への影響を踏まえ、新しい作物の栽培にも対応できる可能性を秘めています。深谷市でもEFポリマーの効果を利用した新しい作物栽培にチャレンジするきっかけを作っていきたいと考えています。また、深谷市は、深谷ネギやブロッコリーなど地域特産品の産地として知られていますが、この地域で発生する農業残渣をポリマー製造に活用する試験も行い、地域資源を最大限に活用した製品開発を進めていきたいです。
[ DEEP VALLEY Agritech Award 2024を知ったきっかけは? ]
今回の応募に至った背景には、弊社の社員が深谷市内の生産者と接点を持っていたことがきっかけです。アワードはアグリテックのスタートアップ企業の間でも有名で、農業戦略に力を入れている深谷は、ぜひ参画したい地域であるため、応募しました。
また、JETROのプログラムで米国のグランドファームを訪れた際には、日米技術交流の可能性も感じ、これを機に日本と海外の技術が交流し、深谷市を農業技術のハブとしたいと考えています。

私たちはEFポリマー単独ですべての農業課題を解決できるとは考えていません。EFポリマーは他の資材との掛け合わせによってより多くの農業課題に対応できる資材です。アグリテックアワードがきっかけとなり、深谷市や地域の生産者、関連企業の皆さんとの連携を深め、知見を共有し、深谷市とともに日本や世界の農業を持続可能な方向へと舵を取っていきたいと考えています。
株式会社ダイワ
株式会社ダイワは58年前に創業し、大阪と和歌山の農協向けに商材を販売してきた会社です。その名前の由来は「だいわ号」という稲刈り農具に由来し、地域農家の支えとなる企業として発展してきました。現在、ダイワは米農家を悩ませる「ジャンボタニシ」問題に対応するため、革新的な防除技術の開発に取り組んでいます。
[ 提案したテーマについて ]
私たちの提案したテーマは、全国で拡大するジャンボタニシの被害を抑え、従来の防除よりも安全で簡単に、米を作れる環境を提供することです。この技術により、特に高齢の農家でも負担なく作業が行えるようにし、悩む米農家を支援することを目指しています。
[ 提案内容について ]
ジャンボタニシの被害は以前は西日本に限られていましたが、近年は温暖化によって東日本にも広がっており、深谷市でも暖冬の影響でジャンボタニシの発生が危惧されています。
 
一般的にジャンボタニシの防除には農薬が使用されており、特に「スクミノン」という農薬が広く普及しています。しかし、スクミノンは効果がある反面、価格が高く米農家にとっては採算が合わないことが課題です。また、捕獲器による防除もありますが、エサ交換や捕獲後の処分に手間がかかる上、即効性が低く、一度に大量のジャンボタニシを駆除することは難しいのが現状です。そのため、農業現場では、安価で効果的な新たな防除資材が強く期待されています。
 
私たちはこの問題に対して、電気と超音波を利用した駆除技術を提案しています。研究の結果、ジャンボタニシが電気に反応してマイナス極方向に移動する性質を持つことが確認されており、オス・メスの性別や成長段階に関係なく、すべてのジャンボタニシがマイナス電極に集まることがわかりました。この性質を利用し、まず太陽光パネルで発電し、水田内のマイナス電極にジャンボタニシを集めます。そして、マイナス電極に集まったジャンボタニシに対して、28kHzの超音波を180秒間照射することで駆除を行います。この超音波処理により、稚貝は殻が粉砕され即死し、幼貝や成貝も数日以内に死滅するため、効果的な駆除が可能です。また、駆除後のジャンボタニシは分解されて、水田の肥料になるため、死骸の処分も必要ありません。
 
この技術は農薬を使用せず環境にも優しく、設置をするだけで済むため、特に高齢の農家にとっても安全で簡便に利用できる点が特徴です。農家にとってはジャンボタニシの駆除コストを大幅に削減し、負担を軽減することが期待されています。
 
また、農家間でのジャンボタニシ防除に関する情報共有が不足している現状も課題として捉えており、農業者に向けた情報発信の役割を果たすことも目指しています。
[ DEEP VALLEY Agritech Award 2024を知ったきっかけは? ]
私たちはもともと農協の通販事業を母体としていましたが、時代の変化に対応するために社内に新規事業室を設立し、農家が抱えるさまざまな課題を解決する取り組みを進めています。その活動の一環として、農家同士や地域との情報共有や連携を強化する目的で情報発信に力を入れており、今回のアワードについてもそこで知ることができました。また、弊社は深谷市に近い白岡市でネギ農家とも関わりがあり、深谷市とのつながりや地域農業の重要性を強く感じています。
ここ5年で農業界はみどりの食料システム戦略によって大きく変化しています。今後もさらなる変化が予想されるなか、小規模な農家や兼業農家も支え、持続可能な農業の実現に貢献し、日本全国で困っている米農家を支えたいという強い思いを抱いています。
TrueAlgae社
TrueAlgae社は、微細藻類(英語で「algae」)の持つ可能性を追求する企業です。その名には「真の微細藻類」を意味する思いが込められており、土壌改良資材や、鶏用の飼料、栄養食品など、微細藻類を活用した様々な事業を展開しております。また弊社はアメリカ発の企業ですが、日本の農業におけるアグリテックをさらに発展させるため、深谷市での事業展開を進めていきます。
[ 提案したテーマについて ]
私たちの提案は、弊社の独自技術メタボライト技術を活用した農業資材「トゥルーソラム」を広げていくことです。バイオマスを含まず、微細藻類が生み出すメタボライト(代謝物)のみを抽出したメタボライト技術は、農業資材に混ぜることで即効性のある効果を発揮し、日本と世界の農業インフラに役立つ新たな技術基盤となる可能性を秘めています。
[ 提案内容について ]
「トゥルーソラム」は、土の中の「有用菌」を活性化させ、植物にとって必要な栄養分を効率よく吸収させる役割を果たします。たとえば、土にはリン酸や鉄分などの栄養が豊富に含まれていますが、追加の肥料を与えなくても、有用菌が活性化することで土壌中の栄養素を効率よく植物に届けることが可能です。さらに、この資材は99.5%が水分で構成されているため、市場に流通しているさまざまな農業用資材と混ぜて簡単に使えるのも大きな特長です。
また、日本で注目されている「菌根菌」との相性も良く、この資材は土中の菌を増やし、作物の根張りや栄養の吸収力を高めてくれるため、種まきから乾燥対策に至るまで幅広く役立ちます。
植物は地球に出現して以来、菌と養分や栄養を分け合う共生関係を築いてきましたが、私たちのメタボライト技術はこの関係をさらに強化し、植物が土中にあるリン酸などの栄養をスムーズに吸収できるようサポートします。
[ DEEP VALLEY Agritech Award 2024を知ったきっかけは? ]
このアワードに参加するきっかけとなったのは、私たちが以前からグランドファームの関係者とつながりを持っていたことでした。今年5月の日本出張時に、グランドファームと深谷市の連携を知り、実際に深谷市を訪問。そこで出会ったレグミン社との協力が始まり、さらに深谷市とのつながりを深めました。現在、私たちは深谷市の農家とも協力し、日本市場での展開を進めるため、深谷市に事務所を設立する予定です。
 
最終審査に向けて、私たちはこの機会に深谷市とより深い関係を築きながら、日本の農業分野で活動を広げ、人材も積極的に採用していきたいと考えています。結果にかかわらず、今後も深谷市との協力を続け、日本農業の発展に貢献してまいります。
株式会社アイナックシステム
株式会社アイナックシステムは、半導体製造装置の制御設計から始まりました。現在は工場の自動化事業や、農業現場における土壌加温ヒーターシステム・潅水システム・いちご自動収穫ロボットの設計開発など、人手不足に悩む現場の助けになるべく事業を展開しております。
[ 提案したテーマについて ]
私たちは「農業×自動化」というテーマに挑戦しています。今回提案する「ロボつみ」は、栽培した作物を自動で収穫するロボットで、農業現場の人手不足に対応し、農家の作業を効率化することを目指しています。
[ 提案内容について ]
私たちの主力技術であるロボつみは、農家に代わり収穫作業を行う自動収穫ロボットで、試験中のものは特に手間のかかるイチゴの収穫作業を担います。現在、農業従事者の数は年々減少しており、20年後にはその数が4分の1にまで減ると見込まれています。このような状況で「世界一美味しい野菜や果物を作り続けたい」という農業者の夢を支え、持続可能な農業の未来を実現するには、私たちのような自動化技術の導入が欠かせません。自治体や地域との連携も大切にし、農業の自動化を地域に適した形で進めていく計画です。
 
イチゴの収穫作業は、朝早く暗いうちから手作業で一つひとつ収穫し、その後、サイズや色ごとに分けてパック詰めするまでの重労働が続きます。この過酷なスケジュールは、家庭を持つ農家や新たに就農する若い方々にとって負担が大きく、特に子育て中の方にとっては、朝の収穫をサポートしてくれるロボットの存在が不可欠です。ロボつみがあれば、家庭と農業のバランスが取りやすくなり、農家の皆さんが家族との時間を十分に持てるようになります。また、夜中の作業も可能なため、日中の暑さを避けた収穫作業も現実のものになります。最終的には、イチゴを収穫したカゴを交換するロボットなど、補助機能を備えたシステムと連携させ、長時間の労働を大幅に軽減することが目標です。
 
さらに、私たちは「ロボつみ」にカゴ交換機能の開発を追加し、完全な自動収穫システムを目指しています。現在、収穫そのものの自動化は可能になりましたが、収穫物がいっぱいになったカゴを交換する手間を解消できる仕組みが求められています。この課題に挑戦することで、より効率的で負担の少ない農業の実現を目指します。
[ DEEP VALLEY Agritech Award 2024を知ったきっかけは? ]
アグリテックアワードは、スタートアップやアグリテック企業にとって広く知られた登竜門的なコンテストであり、弊社もこの機会を常に意識してきました。しかし、アイナックシステムは九州を拠点としているため、関東エリアや深谷市での活動にはこれまで縁が薄いと感じていました。そんな中、アワード事務局を通じて九州からの参加が可能であると伺い、関西圏から東日本へ活動を広げるための拠点設置や全国展開の一助として、この機会を最大限に活用したいと考え、参加を決意しました。
 
アワードへの参加を通じて、当社の「ロボつみ」を埼玉県のオリジナル品種「あまりん」に対応した専用ロボットとしても展開する構想があり、深谷市を中心に日本の農業現場に根ざした形で成長させたいと考えています。アイナックシステムは「これからの農業を支える」という強い使命感を持ち、地域の皆様とともに持続可能な農業を目指す所存です。深谷市や埼玉の農業活性化に寄与できるよう、これからも技術と情熱を注ぎ、社会に役立つ自動化ソリューションの提供に尽力してまいります。
株式会社エンドファイト
株式会社エンドファイトは、植物内に共生し、その成長を支える微生物「エンドファイト」の実用化と普及を目指して設立された企業です。私たちは、エンドファイトを用いた育苗用培土の開発販売をはじめ、エンドファイト培土で育成した高付加価値苗の提供、弊社の技術を活用した新規グリーン事業共創支援を通じて、持続可能な農業の実現を目指しています。
[ 提案したテーマについて ]
私たちは、土壌微生物の技術開発を通じて、農業における環境負荷の低減と作物の高機能化を目指すことを提案させていただきました。「高機能化」とは、植物が気温の変化や水不足などの環境ストレスに強くなることであり、これによって栽培作物の生産が安定し、気候変動に対応した持続可能な農業が実現すると考えています。
[ 提案内容について ]
今回、私たちが提案するのは、世界最大規模となる1万株以上の「Dark-septate endophyte(DSE)」菌株ライブラリーを活用した技術です。DSEは、多様な菌株を通じて植物の根に共生し、暑さや寒さ、病害、乾燥への耐性を高めるなど、植物の成長をあらゆる面からサポートします。特に、この技術によって植物が土壌の栄養を効果的に吸収できるようになり、化学肥料や農薬に頼らずに生育が可能となります。たとえば、通常は北海道のような冷涼な地域でしか育たない甜菜(ビート)を、温暖な茨城でも安定して収穫できるという成果が出ています。また、DSEは都市農園や都市緑化にも活用でき、都市環境でも低コストで植物の高付加価値栽培を実現。幅広い環境で持続可能な栽培を可能にすることで、農業や都市緑化にも新たな価値を生み出しています。
 
私たちは、このDSE技術で持続可能な「高付加価値農業」を目指しています。特別なノウハウなしで、肥料や農薬、エネルギーコストを抑えた低コスト農法を実現するだけでなく、過酷な環境でも植物の生育を助け、農家にとってメリットのある資材として位置付けたいと考えています。さらに、DSEを使えば都市農園や森林再生など、さまざまな分野で応用できるため、深谷市をはじめ自治体や地域の農家と協力しながら、地域特性に合わせた解決策を提供していきたいと考えています。
[ DEEP VALLEY Agritech Award 2024を知ったきっかけは? ]
今回のアグリテックアワードへの応募は、SNSを通じてアワードの存在を知ったことがきっかけです。農業分野は従来、新しいスタートアップが入りにくいとされる保守的な業界ですが、深谷市のアグリテック支援は国内でも先駆的な取り組みであり、新しい価値を生み出す絶好の場になると感じました。さらに、深谷市がアメリカのグランドファームと提携している点にも魅力を感じ、グローバルな視点を持ちながら深谷市とともにゼロから新しい仕組みを作り上げていきたいと思っています。

私たちは、このアワードを通じて「新しい農業の仕組み」を構築し、未来に必要な持続可能な農業のモデルをつくっていきたいと考えています。気候変動や環境問題が叫ばれる中、私たちの技術を通じて、農家や関連企業と一から仕組みを作り、持続可能な未来を築くことが欠かせません。これからもDSE技術を通じて新しい価値観と仕組みを提供し、未来の農業に貢献していくことに全力で取り組んでまいります。
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